「JDLA Generative AI Test 2023」を受験しました。
この試験は、2023年6月24日(土)に開催された、日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する生成AIの検定試験です。
生成AIを適切に活用する能力や知識を問う試験になります。
この記事では、試験に向けてどのような勉強をしたか、試験はどのような内容であったかをご紹介します。
試験について
試験の概要
「JDLA Generative AI Test 2023」は日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催する、生成AIの活用能力や知識を測る試験です。
試験概要は以下のとおり。
項目 | 内容 |
---|---|
受験資格 | 誰でも受験可能 |
実施方法 | オンライン実施(PC/スマホ) |
試験時間 | 15分 |
問題数 | 20問程度 |
問題方式 | 択一式/多肢選択式 |
開催日時 | 2023年6月24日(土) 10:00~23:59 |
受験費用 | 2,200円(税込) |
開催日の10:00~23:59であれば、好きな時間帯で受験することが可能です。
2023年6月24日の試験が初回開催で、次回以降の開催予定は未定です。
試験の出題範囲
試験の出題範囲は以下のとおりです。公式ホームページから引用します。
生成AIの技術
特徴
- テキスト、画像、音声等の生成モデルに共通する技術的な特徴を俯瞰して理解している。
キーワード:確率モデル、ハルシネーション (Hallucination)
- 大規模言語モデルの基本構造を理解している。
キーワード:基盤モデル、言語モデル、大規模言語モデル (LLM)、トランスフォーマー (Transformer)、アテンション (Attention)、GPT-3
- 大規模言語モデルにおけるモデルの学習方法を理解している。
キーワード:教師あり学習、自己教師あり学習、事前学習、ファインチューニング
- 大規模言語モデルのアラインメントを理解している。
キーワード:アラインメント (Alignment)、人間のフィードバックによる強化学習 (RLHF)、インストラクション・チューニング (Instruction Tuning)
- 大規模言語モデルにおける生成の仕組みを理解している。
キーワード:コンテキスト内学習 (In-Context Learning)、Zero-Shot、Few-Shot、サンプリング手法
動向
- テキスト、画像、音声等の生成モデルの技術動向を俯瞰して理解している。
キーワード:条件付き生成、拡散モデル (Diffusion Model)
- 大規模言語モデルのオープン化の動向と原因について理解している。
キーワード:オープンコミュニティ、オープン大規模言語モデル、オープンデータセット、オープンソース
- 大規模言語モデルの性能を決める要素の動向と原因について理解している。
キーワード:スケーリング則 (Scaling Laws)、データセットのサイズ、データセットの質、モデルのパラメーター数、計算資源の効率化、GPU
- 大規模言語モデルのマルチモーダル化の動向と原因について理解している。
キーワード:マルチモーダル - 大規模言語モデルの外部ツール・リソースの利用の動向と原因について理解している。
キーワード:学習データの時間的カットオフ、大規模言語モデルの知識、大規模言語モデルの不得意タスク
生成AIの利活用
特徴
- 生成AIには何ができるのかを理解している。
キーワード:ケイパビリティ - 生成AIをどのように使うのかを理解している。
キーワード:活用事例 - 生成AIの性能を拡張する使い方を理解している。
キーワード:プロンプトエンジニアリング
動向
- 生成AIの新たな活用方法を生み出すためのアプローチを理解している。
キーワード:ハッカソン、自主的なユースケース開発、インターネット・書籍、活用の探索
- 生成AIの活用を制限する要因を理解している。
キーワード:生成AIの学習データ、生成AIの性能評価、生成AIの言語能力
- 業界に特化した生成AIの活用方法を理解している。
キーワード:ChatGPT・Bard、広告クリエイティブへの応用、ドメイン固有
生成AIのリスク
特徴
- 生成AIが、技術面・倫理面・法令面・社会面などで多様なリスクを孕むことを理解している。
キーワード:正確性、ハルシネーション (Hallucination)、セキュリティ、公平性、プライバシー、透明性
- 生成AIの入力(データ)と出力(生成物)について注意すべき事項を理解している。
キーワード:著作権、個人情報、機密情報、商用利用、利用規約
動向
- 生成AIについて、現時点では認識されていない新たなリスクの出現とそれに伴う規制化の可能性を理解している。
キーワード:新たなリスク、規制化、情報収集
- 生成AIの活用に伴うリスクを自主的に低減するための方法を把握している。
キーワード:自主対策
実施した試験対策
「JDLA Generative AI Test 2023」の受験に向けて以下のような試験対策を実施しました。
生成AIの解説書を読む
まずは全体的な動向を把握するため、生成AIの解説書を読みました。
購入したのは以下の2冊。
『画像生成AI』は「JDLA Generative AI Test 2023」の検討メンバーでもある深津貴之さんの著作です。
生成AIに関する話題が会話形式で解説されており、非常にわかりやすくておすすめです。
シラバスの用語を調べる
出題範囲として示されているシラバスの用語を調べました。
用語をインターネットで調べていき、一部分かりにくかった用語はChatGPTに解説してもらいました。
ChatGPT、資格試験の勉強にも使えます。
調べた用語は試験中に確認しやすいようにカンペを作成しました。
カンペはあくまで記憶を想起するための呼び水として使用するため、簡単な解説だけ書いています。
参考資料に目を通す
公式ホームページで参考資料として提示されていた以下2点に目を通しました。
- イベント動画
- 生成AIの利用ガイドライン
イベント動画
2023年3月に開催されたイベント『JDLA緊急企画!「生成AIの衝撃」〜ChatGPTで世界はどう変わるのか〜』の動画を視聴しました。
動画の時間は約2時間ですので、倍速視聴で約1時間です。
有識者たちの生成AIに対する見解を知ることができます。
私自身は2023年3月に一度視聴していたので、所どころ飛ばしながら見返しました。
なお、イベントレポートページに内容の要約があります。
生成AIの利用ガイドライン
日本ディープラーニング協会(JDLA)が2023年5月に発表した、生成AIの利用ガイドラインを確認しました。
生成AIを組織で活用する際に注意すべき点がまとまっています。
受験所感
試験時間について
試験は当日の10:00~23:59までならどの時間で受けてもよいという形式。
私は10:15から受験を開始しました。
12分ほどで解き終わり、残りの3分は見直しに当てました。
試験時間15分間で20問なので、1問あたり45秒で解答していく必要があります。
分からない事項をその場でインターネットで調べることもできますが、あまり調べすぎると時間がなくなるため、事前勉強は必須であると感じました。
問題について
解答形式は、以下の2種類。
- 4択から1つ選ぶ
- 4択から該当するものを全て選ぶ
択一選択の問題は比較的自信を持って答えられましたが、多肢選択式の問題は若干迷うものもありました。
出題内容は、技術的な面とリスク面の話題が半々ぐらいの印象でした。
技術的な面は、AI技術の予備知識がない人にはやや難しいため、しっかりとした勉強が必要です。
まとめ
「JDLA Generative AI Test 2023」の受験にあたって実施した試験対策と、実際に試験を受験して感じたことをご紹介しました。
新しい技術が生まれると、積極的に様々な活用方法が考え出されますが、リスク面はしばしば見落とされる傾向にあります。
この試験を通じて、生成AIの利用にあたって発生しうるリスクを理解することができたのが一番の収穫だったと個人的には感じています。
(追記)
結果は合格でした。
合格発表後、受験サイトから以下のような試験結果レポート(PDFファイル)をダウンロードすることができます。
(追記2)
第2回目が2023年12月2日(土)に開催されることが決定したようです。
こちらのサイトから受験申し込みができます。
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